ごあいさつ

会長あいさつ

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1992年に島根県民会館大ホールの改装記念としてスタートした、この「県民手づくり第九コンサート」も今年で32回目を迎えます。

 島根第九をうたう会は、全国的にも珍しいオーケストラ・合唱ともに公募の演奏者で構成されており、会員の努力により年々演奏のレベルが向上してきました。こうした努力と積み重ねが高く評価され、1999年に「島根県文化奨励賞」を、2013年に「志鳥音楽賞」を受賞しました。

会の皆様の努力とともに、初代の森山俊雄先生、2代目・吉田正英先生、3代目・古瀬 誠さんの3代の会長の尽力により、全国に誇る「島根第九」の会として認められるようになってきたと思います。

「第九」は、1824年にベートーヴェンが作曲し、「苦悩を突き抜けて歓喜にいたれ」という名言を残しました。「自由」「友愛」を謳った「第九」は、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻など不安定な現代にも通ずる至高の名曲です。「ベルリンの壁の崩壊」やオリンピックでの5大陸同時演奏など、世界の歴史の転換点や大きなイベントで演奏されてきた「第九」は世界遺産にも指定されています。

これからも、多くの県民の皆様に演奏に参加していただき、また年末の「第九」を聴いていただき、島根の文化財産として発展していって欲しいと思います。

小林 淳一

実行委員長あいさつ

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♪フロイデ シェーネル ゲッテルフンケン トホテル アウス エリーズィウム・・・(歓びよ、美しき神々の輝きよ、楽園の娘よ!)
 よく晴れた日の夕刻、湖岸に立ち、夕焼け色に染まる湖面と空を眺めていると、いつもこのフレーズが湧いてきて、明日への期待感で心が満たされるのです。ベートーベンの交響曲第9番「合唱付」、本当に宍道湖の夕景に相応しい音楽だとつくづく感じるのです。
 さてその「第九」、私たちが‟県民手づくり「第九」コンサートin島根”として初めて開催したのが平成4年(1992年)のこと。以来、今日まで毎年欠かさず開催し、県民の方々とその感動を共にし、これまで、延べにして約5,900人の人たちが声を合わせ、歓喜の合唱を歌ってくださいました。そしてこれまで、延べにして約2,400人の方々が音色を合わせ、真の喜びの調べを奏でてくださいました。またこれまで、世界的なバス歌手の妻屋秀和氏はじめ、実数にして75人の地元出身のソリストの皆さんが心を込めて、万人への愛を力強く歌ってくださいました。そしてまた、これまで5人の指揮者の方々がそれらを一つにまとめ、聴く人の心にいつまでも消えないたくさんの感動を植え付けてくださいました。そして、そしてこれまでに、述べにしておそらく3万人以上の皆様が客席で私たちの音楽を温かく支え続けてくださいました。‟県民手づくり「第九」コンサートin島根”、これがこれまで30年余りの誇りです。
 「第九」の演奏に先立って行われる第1部では、島根にゆかりの個人の演奏家や団体による演奏を披露していただいています。これもわが「第九」コンサートの大きな特色となっています。そんな中で、これは島根ゆかりの演奏家ということではありませんが、第10回のコンサートには、当時まだ中学校1年生で、後々アメリカの国際コンクールで日本人初の優勝を果たされた、全盲のピアニスト辻井伸行さんをお招きし、ベートーベンの「悲愴」などを演奏していただいたことは、私たちのとても大きな誇りとなっています。
 そして第2部、「第九」の演奏。合唱団は公募、オーケストラも公募。そういう、全国のどこにもない形での『第九』コンサート。だからこそ毎回少しずつ違う色合いが生まれ、回数を重ねてもいつまでも新鮮さが失われないで今日までに至ったのではないかと自負しているところなのですが、その「第九」の演奏の後には、感動が冷めやらぬ中、観客の皆さんとともに、我らの県民歌「薄紫の山脈」を熱唱し、会場は更なる歓喜に満ち溢れるのです。
 そういう独自性や独創性を認めていただき、2013年に「志鳥音楽賞」という名誉ある賞をいただいたことは、私たちにとってそれからの大いなる励みとなり、これからの力強い後押しになったことは言うまでもありません。
 ‟県民手づくり「第九」コンサートin島根”、これがこれまでの誇るべき歴史の一頁です。

 “生ける者はすべて、よろこびを自然の乳房から飲む。
 善人も、悪人もすべて薔薇の小道を辿る。
 自然は、われらの口づけと葡萄と、氏の試練を経た友を与えた。
 悦楽は虫けらに投げつけられ、天使ケルビムは、神の御前に立つ”

このシラーの言葉を胸に、ベートーベンの音楽を力として、‟県民手づくり「第九」コンサートin島根”、
これからもさらに逞しく、その歴史を刻んでいこうと思います。

勝部 俊行

指揮者の紹介

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指揮者 伊藤 翔

中学校まで島根県松江市で過ごす。桐朋学園高等学校音楽科及び桐朋学園大学指揮科卒業。ローム音楽財団の奨学金を得てウィーン国立音楽大学へ留学。
指揮を秋山和慶、小澤征爾、黒岩英臣、E・アチェル、湯浅勇治、K・マズアの各氏に師事。
第5回ルトスワフスキ国際指揮者コンクール第2位。第1回ニーノ・ロータ国際指揮者コンクール第1位、及びオーケストラ賞を受賞。第26回エネルギア音楽賞受賞。
これまでに大阪フィル、大阪響、神奈川フィル、九州響、京都市響、群馬響、新日本フィル、仙台フィル、都響、中部フィル、東京シティ・フィル、東京フィル、東響、名古屋フィル、日本センチュリー響、日本フィル、兵庫県立芸術文化センター管弦楽団、広島響、山形響等に客演。海外では、ジェショフ・フィルハーモニー管弦楽団やアブルッツェ交響楽団への客演が好評を博す。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団指揮研究員、神奈川フィルハーモニー管弦楽団副指揮者、東京混声合唱団コンダクター・イン・レジデンスを歴任。
また合唱指揮者として2017、2018年NHK交響楽団の公演を成功に導いた。2023年4月より東邦音楽大学非常勤講師。